ホーム戦績・特集>08*春物語

 倉敷商にコールド負けを喫してから数日。
声は出ているが、選手の表情は決して明るいものではなかった。
元気印の岩本くんまで「勝てなくてすみません」と、頭を下げる。

敗れた日、グラウンドに戻って選手だけでミーティング。
荒木くんは自分の不甲斐なさを責めつつ、「ついてきてほしい」と協力を求めた。
ある選手はこんなことを打ち明けている。
大会直前までチームの雰囲気も最高潮だった。
練習試合でも結果が出ていて、自信があった。・・・ただの慢心でした。
完敗してやっぱり弱いんだって自覚しました。
もう失うもなんてないです。夏は思い切りやるだけです

荒木世代、県大会未勝利。このままでは終われないのだ。

ノック、スタート。
例年通り、2年生は白い練習着を卒業し、関T(Tシャツ)姿だ。
昨年12月以来の訪問だったため、下半身が見違えるほど太くなっていて驚いた。
じゃろ〜」と、にんまりの浜田コーチ。
上級生のノックに参加していた2年生は田中健太郎くん、髭昌佳くん、緑川大陸くん、森末尚揮くん。
ちなみに、森末くんのお父さんはOBだ。
何人かポジションも変わっていて、山本敦くんはショートへカムバック。
ノック中はやっぱり岩本くんの高い声が耳に入ってくる。
初日はみんなが嫌いなノーエラーもあった。
ぐるぐると走る姿で、その選手のやる気具合がよくわかる。
緑川くんはボールを落とすまいと足で意地のキャッチ。
え?え?おかしいんちゃう?」などなど、見ている首脳陣もニヤニヤ。
裕ちゃん、たのむよー」という高田くんへのゲキも印象的だ。


ノーエラーで江浦監督の前をぐるぐる周る選手たち


外野からの中継をホームへ返す岩本くん。実に楽しそう・・・

サブグラウンドでは、補助に入らない下級生がティー中。
1年生25人も加わり、大所帯のチームにとってサブグラウンドはありがたい。
さて、1年生軍団だが、すべての行動がみんな一緒で初々しい。
ホースで水を巻くのも全員、補助待ちのときも固まってる。
ここで恒例の浜田コーチの名?迷言が飛び出した。標的は手槌くん。
手槌なあ・・・打出の小槌みたいにならんとなあ

ルーキーです!


南くんのボールを取ろうとする山本敦くんと見てる植田くん(1年)

ブルペンでは冨田くんが投球練習をしている。
半年前の状況を考えれば、エースナンバーは正直予想外。
新チームが始動した直後の大阪遠征。
そのメンバーを決める紅白戦で彼は投げていた。
(「07*夏物語」でも紹介している試合のことです)
ベンチ入りボーダーラインの選手たちが出場しており、冨田くんは打たれて降板している。
ネットに体をもたつかせて「行けれん・・・」と、がっくり。今でも思い出す光景だ。
私はこの紅白戦の重要さを知らず、思わず軽はずみな発言をしてしまった。
そこへ長安くんが「必死で頑張ってるんですから」と一言。
結局冨田くんは秋のベンチ入りも叶わなかった。
しかし、冬の間にサイドスローへ転向。並々ならぬ努力が実を結んだ。
中村くん(明大)は「冨田がエースですか?」とびっくりしていたが、すぐに続けた。
あいつすごい頑張ってたんで納得できます
みんなが盛り上がっていても、一歩ひいて笑っているタイプ。
そんな冨田くんの好きな言葉は“努力は裏切らない”。
それを見事形にした春だったのだ。
後輩にとっても励み、手本のような姿勢だろう。

逆に、重友くんは歯がゆい思いをしていた。
3月に入ってまさかの疲労骨折。
投げたい。早く投げたい。強いところに投げたい」と、“投げたい病”が止まらない。
何より、引き締まった顔つき、発する言葉が違う。
穏やかでどことなく優しくて、そういう部分が減ったような気がする。
現在は普通にキャッチボールもして、調整を進めている。
冬から5、6キロ増えてお尻周りが太くなった。
となりで中嶋くんが「僕も増えたんですよ」とアピール。
自分の調整をしつつ、バッピもこなして大忙しだ。


バランス練習に取り組む見村くん(左)を見てる重友くん


バッピ役の佐藤くんと、見てるのが左から木村幸くん(2年)、古田くん(2年)、中嶋くん

練習を見ていて、見当たらない選手が2人。
模試の関係で学校に連日残っている佐藤くんと山河くん。
グラウンド整備の時間帯になって、学ラン姿で「こんばんは!」とやって来た。
整備手伝いに来てくれたんか(笑)?」(監督)
いえ・・・(笑)。これからアップします」(2人)
これから!?」(監督)
相談した結果、1時間ほどの軽めのメニューということでまとまっていた。
休日はしっかり朝から練習参加。立派な文武両道だ。

 

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